キャッシュ・フロー計算書は、企業の資金の流れを把握するうえで欠かせない財務資料です。今回は、Excelのウォーターフォール図の活用事例として、キャッシュ・フローを図示する事例です。
内容:
なお、確認のExcelは「Microsoft® Excel® for Microsoft 365 MSO」(バージョン2509)です。
1.アウトプットイメージ
Excelのアウトプットイメージは次のとおりです。グラフの種類を「ウォーターフォール図」にすることで、視覚的に非常にわかりやすくなります。

「ウォーターフォール図」は各項目の増減を視覚的に表現できるグラフで、営業活動によるキャッシュフロー、投資活動によるキャッシュフロー、財務活動によるキャッシュフローの流れを一目で把握できます。Excelのグラフ機能を使えば、誰でも簡単に作成可能です。
なお、ウォーターフォール図はExcel 2016以降で標準機能として利用可能です。
それ以前のバージョンでは、積み上げ縦棒グラフなどを工夫して手動で作成する必要があります。
2.作成手順
ステップ1:データの準備
図示する元データをアウトプットイメージ(上図の左側「セル範囲 B3:C8」)の表のように準備します。
ステップ2:グラフ挿入
準備した表(データ範囲)を選択して、グラフから「ウォーターフォール」を指定します。事例では、「セル範囲 B3:C8」を選択している。

上記設定で以下のようなウォーターフォール図が作成されます。
期末残高の値もフローとして加算されているので修正が必要な状態である。

ステップ3:レイアウト調整
(1)期末残高を「合計として設定」に変更
グラフ内の期末残高(最後の棒)をクリックして選択し、右クリックメニューから「合計として設定」を選択します。

これにより、指定した「期末残高」の項目がウォーターフォール図上で合計として表示され、色分けされて見やすくなります。
なお、データ要素の書式設定の画面では「合計として設定」にチェックが入った状態になっており、直接当該画面から設定変更することも可能です。

(2)増減の流れを明確にするため「コネクタを表示」と強調
データ系列の書式設定の画面では「コネクタを表示」という設定項目があります。これを有効にすると、各棒グラフ(データポイント)間に線(コネクタ)が表示されるようになり、視覚的にわかりやすくなります。
この線(コネクタ)を強調したい場合、コネクタ単独での書式設定はできませんが、データ系列の枠線を強調表示したうえで、各要素の枠線を「線無し」にするなどの工夫でコネクタを目立たせることが可能です。
具体的には次のように実施します。
① 枠線を強調表示
グラフ内のコネクタを選択し、「データ系列の書式設定」-「枠線」で強調したい色や太さに設定します。この時点では、すべてのデータ系列に同じ枠線が適用されます。

② 各要素の枠線を「線無し」にし、コネクタのみ枠線を残す
グラフ内の各要素(棒グラフ)を個別に選択し、「データ要素の書式設定」で「枠線」を「線なし」に変更します。

これにより、冒頭アウトプットイメージのようにコネクタのみが強調表示され、視認性も向上します。
以上、Excelを使って、キャッシュ・フロー計算書をウォーターフォール図で可視化する方法でした。