業務改善において、業務の全体像を見える化する「業務の体系化」は重要なプロセスです。目に見えないものは改善できないため、業務の見える化は必須です。
さらに、業務の全体像を示す「業務の体系化」は、次のようなメリットがあり、改善活動を効果的・効率的に進める基盤となります。
- 業務全体の視点で業務の相互関係(階層)を理解しやすくなる
- 関係者全員が業務に対する共通の理解を持ちやすくなる
- マニュアルや関連文書の作成時に業務粒度の基準となり、整合性がとりやすくなる
この「業務の体系化」の手法の一つとして、DMM(Diamond Mandala Matrix)の情報をまとめました。
内容:
DMM(Diamond Mandala Matrix)とは?
機能構成図で、業務機能を階層的に3×3のマトリックスで表現したものです。
具体的には、ITアソシエイト協議会 EA策定ガイドラインver.1.1 第Ⅱ部では、次のように説明されています。
古い情報ですが、自治体EAに関する説明資料がわかりやすかったので、以降はその引用です。
EA成果物開発の最初の作業として、業務の現場から業務の実際を引き出し「機能構成図」の作成が行われる。
これは、より抽象的・客観的に業務を構成する機能を、3行3列の格子様式を用い階層的に分解・抽出する様式(DMM:Diamond Mandala Matrix)によって記述される。
DMMは、ソフトウエアエンジニアリングに特段の知見を持たない業務の現場から見て難解な機能情報関連図(DFD:Data Flow Diagram:後述)を理解できるようにつなぐ役割を果たすとともに、CIO補佐官とそのスタッフがお互い理解できる共通の言語で現場とのコミュニケーションを確立するための手段としても有効に機能する。
なお、この説明でEAとは「Enterprise Architecture」の略で、組織全体を通じた業務・システムの最適化を図る設計手法のことです。
具体的なDMMのイメージは下図の上側です。下側はDFD(機能情報関連図)で、両者は関連しています。
なお、DMMが良い点は、次のとおりだと思います。
- 3行3列の格子様式を用いた階層的なレイアウトは「業務の全体像をおおまかに把握する」のに適している。
(ツリー構造の図や表より、空白を削減できて一覧性がある) - 業務機能(○○を△△するという機能)で整理するので、不要な業務改善を抑制しやすい。
(「誰が、どのように(How)」の詳細な手順の情報を削除しやすく、必要な機能をもとに検討しやすい。) - これにより、関係者間のコミュニケーションが円滑になる。
DMMを作成することで、機能情報関連図(DFD:Data Flow Diagram)の作成が効率的になるなど、業務機能の用語・粒度の整合性がとりやすくなります。
業務体系の概略を理解しやすいように、あえて3×3のマトリクスの9マスでまとめて表現することに価値があると思います(詳細が必要なら、次の階層で表現する)。
その結果、冒頭の「業務の体系化」のメリットが得られる状態となります。
参考情報
要件定義の成果物として以下で「機能情報関連図(DFD)」や「業務処理定義書(DMM)」などのサンプルなどが紹介されています。
以上、業務機能の整理に活用するDMM(Diamond Mandala Matrix)のまとめでした。